原題『Mirrors』2008年製作
──火災跡が残るメイフラワー・デパートの鏡を綺麗に磨く警備員。しかし、ソレから逃げ惑い命乞いする彼は、鏡に映る自分に殺された…。行方知らずになった警備員の後任は停職中の刑事ベン。拳銃誤射をきっかけに別居した妻エイミー、子供たちとの人生やり直しを願っている。その後、明らかになった前任警備員の変死。更には、妹アンジェラを悲劇が襲う。鏡の中に潜む何かを暴くため、過去を探るベン。しかし、すでにその恐怖は妻子に迫っていた。
出典:20th Century Studios Official YouTube Channel 『Mirrors』Trailer
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本作『ミラーズ』及び『ミラーズ2』は、ハリウッド・リメイク版。元ネタは、2003年製作の韓国映画『Mirror 鏡の中』(主演ユ・ジテ)です。
ベン・カーソン/キーファー・サザーランド 出演作:『スタンド・バイ・ミー』『評決のとき』『メランコリア』『ポンペイ』他
エイミー・カーソン/ポーラ・パットン 出演作:『デジャヴ』『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』他
アンジェラ・カーソン/エイミー・スマート 出演作:『バタフライ・エフェクト』『アドレナリン』シリーズ他
監督/アレクサンドル・アジャ 『ヒルズ・ハブ・アイズ』『ルイの9番目の人生』『クロール -凶暴領域-』他
脚本/アレクサンドル・アジャ グレゴリー・ルヴァスール
音楽/ハビエル・ナバレテ
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冒頭から、名刺代わりのゴア描写で心を鷲掴みする監督アレクサンドル・アジャ。恐怖を助長する廃墟、マネキンに『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006年)のおぞましさが蘇る。私事だが、疲れ気味ならば理屈は度外視。勝手にワーキャー盛り上がってくれる“考えなくてよいホラー”を見る。もはや『ミラーズ』は音声で楽しめる。だが、いまだにエイミー・スマート演じるアンジェラの名場面は見逃さない。 べっとり血まみれ系を克服したい怖がり屋さんにも試して欲しい。ただ、『ヒルズ・ハブ・アイズ』を見るか否かは慎重に。
ここから先は、映画『ミラーズ』結末ネタバレありのストーリーを綴ります。(本編1時間50分)
また、下記の時間表は、あくまでも目安です。
1 映画『ミラーズ』0h00m~0h40m
NY市警の刑事ベン(キーファー・サザーランド)は1年前、誤って同僚を死亡させた。
自暴自棄になる夫を支えきれず、別居を選んだ妻エイミー(ポーラ・パットン)。
現在は断酒に励むベンを、妹アンジェラ(エイミー・スマート)が見守る──
停職中のベンが向かうのは、警備員として採用された街の中心にあるメイフラワー・デパート。
かつては人で賑わったが、5年前に起きた火災以降はフェンスで囲まれる不気味な建物に変わった。
愚痴をこぼしながら案内する、昼のベテラン警備員サペリ(ジョン・シュラプネル)。
ベンが綺麗な鏡に気づけば「前任のルイスが磨いた 奴は鏡に取り憑かれてたよ」と、呆れる。
館内が鏡張りのメイフラワーは、更に時代を遡れば、1952年に閉鎖した聖マシューズ病院。
昼なら耐えられるが、照明もつかないのに夜警をやるベンの気が知れない──
夜警初日、大きな鏡の前に立つベン。そこに、人間の手の跡を見つけて拭くが消えなかった。
すると、鏡一面に浮かび上がる手の跡。ドアの開閉音がベンを誘う。
ドアの向こう側に、地下へと続く階段。辿り着いた水浸しのそこには、閉鎖された病院の痕跡が──
不安から薬に頼るが、家族のため決意を改めるベン。しかし巡回中、不気味な現象が襲う。
鏡に残る跡に自分の左手を重ねた。すると、ヒビ割れた鏡が手の平を切り裂く。
咄嗟に、懐中電灯を照らす鏡は無傷。だが、炎に包まれ悲鳴を上げる者たちを映し出す。
燃え移った火に、全身を焼かれるベン。しかし、悶え苦しむ現実世界の彼に、火の手はない──
正気に戻るベンが拾ったのは、前任ルイスの財布。
そして、幻覚ではない証として、左の手の平に残る傷。
館内を進むベンが鏡の中に見る、全身焼けただれた者。それは、妻子が暮らす家の鏡にも──
憔悴しきったベンは、妹アンジェラになだめられ眠る。だが、彼を追い込む不可解な出来事は続いた。
ベン宛に届いた郵便物。送り主は、面識がない前任警備員ルイスだ。
中身は、ある殺人とメイフラワー・デパート火災。2つの事件に関わるテレンス・ベリーの新聞記事。
自らの妻子殺害の容疑がかかるベリーは、放火を自白。彼は当時、メイフラワーの夜警だった。
事態を把握しきれないベン。しかし、ルイスが遺体で発見されたと知ると安置される病院へ。
拒む監察医の妻エイミーを説き伏せ、遺体と対面する──
2 映画『ミラーズ』0h41m~1h01m
ルイスが発見された現場の鏡は、割れていた。誰もがその破片で喉を掻き切った、自殺と断定。
違和感を指摘するベンが「鏡が彼を殺した」と言っても、馬鹿な主張に薬の副作用を疑うエイミー。
分別を失った自分に自信をなくすベンが帰宅すると、重苦しい空気が流れていた──
捜査中の同僚刑事ラリー(ジェイソン・フレミング)の制止も聞かず、奥へと進むベン。
血に染まった浴槽には、無残な姿に変わり果てた妹アンジェラの死体が。
誰もが定石通り犯人像を推定する。しかし、ベンだけはメイフラワー・デパートに向かった。
そして、鏡に銃弾を撃ち込む。「俺に何をして欲しいんだ!」
鏡を引っ掻く音がすると、そこに“ESSEKER(エシカー)”の文字が刻まれる──
前任ルイスが残したメモにもあった“エシカー”を捜索するも、ニューヨークには該当者なし。
事態の解決を急ぐベンは、元夜警のベリーが収容されていた、精神科拘置所へ向かう。
既に、死亡したベリーに真相は聞けないが、鏡の恐怖を語る彼の映像が残されていた──
「俺の家族を殺したのは、(メイフラワー・デパートの)鏡だ」そう主張し続けるベリー。
鏡を破壊するために放火した彼を多重人格者と診断する医師は、鏡が殺人に至る動機を問う。
「俺が“エシカー”を、捜さなかったから」ベリーの後悔を聞くベンに、戦慄が走る──
妻子が暮らす家の鏡を、次々と外へ運び出すベン。そんな父の異常行動に、子供たちは怯えた。
妹らの不慮の死で苦しむベンを救いたいが、子供たちを守ることで精一杯のエイミー。
激怒する彼女の前で、息を潜める鏡。自分自身が分からなくなるベンは、苦しみの表情で立ち去る──
運転するベンがバックミラーに目をやると、死んだ妹アンジェラの幻覚。
精神科拘置所の医師が言うように、精神的ショックから異なる世界をつくり出しているだけなのか?
自己不信から抜け出せないベン。しかし、目に入ったサイドミラーの警告表示に意欲を取り戻す。
“OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR(鏡に映った物体は、見かけよりもっと近い所にある)”──
3 映画『ミラーズ』1h02m~1h25m
メイフラワー・デパートに変わる以前の姿、聖マシューズ病院。
暗く水浸しの地下道を進むベンは、ある研究室へと続く順路表示に気づく。
老朽化した壁の隙間から流れ出る水。直感的にその壁を壊し、露わになった物に息を飲む──
外からは中の様子が見える、ガラス張りの小部屋。
だが、足を踏み入れた室内は、あらゆる方向に姿が映る鏡の世界。
中央に置かれた椅子には、体を拘束するベルト。そこに座る研究対象者を、観察…
異常な光景に顔をこわばらせるベンに、鏡の中のベンがほくそ笑む──
“エシカー”の捜索を急ぐベン。該当資料を見つけた同僚刑事ラリーは、過去の未解決事件を伝える。
聖マシューズ病院 精神科病棟。1952年10月6日 早朝。看護師は患者たちの死体を発見。
状況から、患者は互いに殺し合った。同病棟の患者アンナ・エシカー12歳も含め全員死亡。
病院は閉鎖。精神科の名医でアンナの担当医でもるケイン医師は逮捕ののち、鏡の破片で自殺した──
最悪の結果に嘆くベン。
しかし、読み漁る資料の中からアンナの退院証明書が見つかり、彼女は生きていると確信する。
当時、惨劇は全員死亡と処理。たが、彼女は事件発生2日前に退院していた──
事態の解決に期待を懸けるベンを、急き立てる鏡。遂に妻エイミーも、異常な光景を目にする。
鏡に潜むモノを妻子から遠ざけるため、家中にある鏡や窓、姿を映す物すべてを覆い隠したベン。
そして、アンナが暮らしていたペンシルベニアに向い、彼女の兄から壮絶な過去を聞かされる──
幼い頃から、攻撃性の強い悪霊に憑依されたアンナ。
聖職者も万策尽きて家族が絶望していると、救いが現れ“珍しい人格障害”のアンナに治療が始まった。
その後、聖マシューズ病院 精神科病棟から退院。しかし、アンナが戻った家の鏡に異常が起きる。
そして家族は、鏡を禁じている聖アウグスティヌス修道院にアンナを隠した──
修道女となって、穏やかな人生を送るアンナ。しかし、過去を知るベンの訪問に顔色が変わる。
恐る恐る面会した彼女は、聖マシューズ病院の地下で行われた治療と鏡に潜むモノを語り出す。
当時、鏡を使った統合失調症の治療法を編み出した医師は、暴れる患者アンナを椅子に拘束した。
すると、数日を掛けて鏡に映る自分と向き合ったアンナの症状は改善。
だがそれは、治療の成功ではなく、彼女に憑依していた悪霊が鏡の中へ引き込まれたからだ。
「以来、鏡の中の悪霊は人を殺しては魂を集めている」そして、今でもアンナを…
全てを話したアンナは悪霊の恐怖心を拭えず、助けを求めるベンの前から立ち去ってしまう。
妻子が残る家で異変が起き始め、絶望するベン。
奥の部屋で祈るアンナに銃を向け、2人は悪霊の待つ聖マシューズ病院の跡地に向かう──
4 映画『ミラーズ』1h26m~1h50m
ドアノブに映った、息子マイケルに憑依した悪霊。鏡に塗られたペンキを落とし、家を水浸しにする。
水面に現れる狂気的なマイケル。母の姿をした悪霊に襲われる娘デイジー。
水の中に引きずり込まれそうになるエイミーだが、子供たちを守るために戦い続けた──
一方、ベンが鏡張りの館内を懐中電灯で照らすと、無数に浮かび上がる不気味な顔や手。
「私を地下で待ってる」アンナは忌まわしい過去を振り払い、ベン家族のために鏡張りの小部屋へ。
椅子に拘束された彼女に、次々と憑依して行く悪霊。その強大なエネルギーは、鏡を粉砕…
そして、水中に沈む息子を呼び続けたエイミーは、悪霊から解放されたマイケルを抱き上げた──
静まり返った小部屋。椅子からアンナの姿は消え、不気味な奇声に銃を構えたベン。
暗く水浸し、ガス管が通る地下道で、面影もない悪霊まみれのアンナとの死闘が始まる──
計り知れない悪霊の脅威にも果敢に立ち向かうベンに押され、深手を負うアンナ。
噴き出すガスに包まれたアンナに向かってベンが発砲すると、老朽化した建物が崩れ落ちる。
瓦礫の下敷きになったアンナの声は聞こえない。そして、ベンも脱出できぬまま夜が明けた──
日が差し込むメイフラワー・デパート。そこから這い出たベンがやっと外へ。
だが、警官と話している昼のベテラン警備員サペリの異変に気づく。
名札は、左右を反転させた鏡文字。そして、巡回中に負った左手の傷は右手に…
自分の手の平を見つめ、鏡の中に引き込まれた恐怖に駆られるベン。
見渡せば平穏な街。しかし、自分の姿を映さない鏡にベンは左手を押し当てた。
すると、向こうの現実世界に、ソレが浮かび上がる──