原題『공동경비구역 JSA』2000年製作
──朝鮮戦争の休戦協定が調印された板門店。そこからほど近い北朝鮮の見張り小屋で射殺事件が起きる。北朝鮮軍人2名が死亡。負傷した同軍中士ギョンピルと韓国軍兵長スヒョクから事情聴取するも、南北双方の証言は食い違うばかりだ。そこで、(スイスとスウェーデンの軍人からなる)中立国監督委員会は、韓国系スイス人の将校ソフィーを召集。そして事件当夜、韓国の見張り小屋で歩哨に立っていたソンシク一等兵の事情聴取も始まった。
長編デビューは1992年。今なお映画ファンを唸らせ続ける巨匠パク・チャヌク監督の出世作『JSA』がフォーカスするのは、南北兵士の友情です。悲恋を絡めた『シュリ』、あるいは闇に葬られた史実を基に描く『シルミド/SILMIDO』とも違う角度から朝鮮半島分断の哀苦を突きつけます。男4人の笑い声、心を許し合っているのがヒシヒシと感じられる。そして、あの夜の真実は…だから終幕がたまらない!また、作中では言及されませんがギョンピル中士やソフィー少佐らの透けて見える過去に、私は思いを馳せてしまうのです。
出演者
ソフィー・E・チャン(スイス軍少佐)/イ・ヨンエ :『ラスト・プレゼント』『親切なクムジャさん』他
イ・スヒョク(韓国軍兵長)/イ・ビョンホン :『それだけが、僕の世界』『KCIA 南山の部長たち』他
オ・ギョンピル(北朝鮮軍中士)/ソン・ガンホ :『シークレット・サンシャイン』『ベイビー・ブローカー』他
ナム・ソンシク(韓国軍一等兵)/キム・テウ :『観相師 -かんそうし-』『世宗大王 星を追う者たち』他
チョン・ウジン(北朝鮮軍戦士)/シン・ハギュン :『地球を守れ!』『高地戦』他
スタッフ
[監督・脚本]パク・チャヌク :『オールド・ボーイ』『別れる決心』他
[脚本]キム・ヒョンソク :『セシボン』他/イ・ムヨン/チョン・ソンサン
[音楽]チョ・ヨンウク :『ラブストーリー』『SEOBOK/ソボク』他
本作は現在と回想を巧みに織り交ぜながら進む。心に留めておきたい場面として南北分断を象徴する軍事境界線が引かれた板門店 見学ツアーを挙げよう。外国人観光客のハプニングを北朝鮮軍中士ギョンピルが対応すると、ある偶然が起きて…。こんなにも近いのに途方もない距離を感じてしまう友情は、じつにやり切れない。渦中の国に対して中立の立場にあるボッタ将軍が心情を吐露する場面も注目して欲しい。
ここから先は、映画『JSA』結末ネタバレありのストーリーを綴ります。(本編1時間50分)
また、下記の時間表は、あくまでも目安です。
1 映画『JSA』0h00m~0h28m
北朝鮮軍3人が死傷する射殺事件が発生したのは、10月28日。
深夜2時16分に雨が降り出してから、間もなくのことだ。
発砲した韓国軍兵長スヒョク(イ・ビョンホン)は身柄を確保され、事情聴取も素直に応じた。
だが、“北の生存者”が述べる事件の経緯とは異なっており膠着状態に──
事件から3日後。
“戦争への発展を避ける”両国家が、中立国監督委員会に捜査を委ねると報道された。
中監委がある板門店に、女性少佐ソフィー(イ・ヨンエ)が到着。
父は韓国人でも、母の母国スイスで生まれ育った彼女が朝鮮半島を訪れたのは初。
そして、1953年に結ばれた休戦協定以来、ここ板門店に足を踏み入れる初の女性となった。
「君の最終目標は中立を保つこと いずれも刺激してはならん 分かるかい?」
そう命令するのは、腫れ物に触るように扱わねばならない南北に不快感を露わにする中監委のボッタ将軍。
すると、表情は柔和でも反骨心があるソフィー(イ・ヨンエ)は、捜査を傍観するだけの将軍に言い返す。
「私は軍事境界線に立って、こう尋ねるんですね “なぜ引き金を引いたの?”」──
射殺事件の捜査を開始するソフィー(イ・ヨンエ)。
だが、韓国のピョ将軍(キ・ジュボン)は、中監委バッジをつける彼女を冷笑し「賢明な選択を祈るよ」と。
また、無気力状態のスヒョク(イ・ビョンホン)も、口をつぐんで事件のことは語ろうとしない──
次に“帰らざる橋”を渡り、事件現場となる北朝鮮軍の見張り小屋を視察。
“帰らざる橋”と呼ばれるのは、南北の見張り小屋の間に架かる橋のことで正式名は沙川橋。
かつて橋の上で行われていた捕虜交換が、その所以である。
捕虜は南北どちらか一方を選択し、もう一方には二度と後戻り(帰ること)は出来ない…。
床下の地下壕を覗き終えたソフィー(イ・ヨンエ)が、特に目を引かれたのは遺留品のノート。
射殺された1人は絵心があり仲間内でも評判で、犬や女性の肖像画が描かれている。
その後、北朝鮮軍中士ギョンピル(ソン・ガンホ)と対面。
始めは外国で負った古傷を見せるなど朗らかな彼も、話が事件に及べば「うるさい女だ」と、背を向けた──
北朝鮮側が「スヒョクは芝居じみてないか」と疑問視する陳述書の内容はこんな感じだ
北朝鮮軍中士ギョンピル(ソン・ガンホ)の証言 | 韓国軍兵長スヒョク(イ・ビョンホン)の証言 |
・見張り小屋にて同志3人で談笑中、韓国兵1人の奇襲に遭い2人が射殺される | ・草むらで糞していたら鈍器で殴られて拉致。敵は3人、脱出を試みて発砲した |
・自身は肩を撃たれ負傷。当該の兵士が韓国側へ逃げ帰る | ・負傷した足で“帰らざる橋”の軍事境界線上に倒れ込んだ |
・北朝鮮軍が駆け付け、韓国軍への威嚇行動に発展 | ・韓国軍が駆け付け、北朝鮮軍への威嚇行動に発展 |
その後も、不明瞭な事件の糸口を探すソフィー。すると、射殺された北朝鮮軍2人の遺体に違和感を覚えたようです
北朝鮮軍チェ上尉(キム・ミョンス)の検視結果 | 北朝鮮軍ウジン戦士(シン・ハギュン)の検視結果 |
受けた銃弾は2発。1発目は胸、致命傷は2発目の正面から額を撃ち抜く“処刑スタイル” | 受けた銃弾は8発。顔に当たった1発目で即死したが、至近距離で繰り返し撃たれ指も弾き飛ばされている |
どちらも復讐だと見て取れるが、決定的な違いがある。
チェ上尉(キム・ミョンス)を撃つ時は冷静だったが、ウジン戦士(シン・ハギュン)に対しては衝動的だ──
北朝鮮軍2人への発砲を自白しているスヒョク(イ・ビョンホン)。
ある事を確認したいソフィー(イ・ヨンエ)は、事情聴取の席で銃と弾を差し出す。
事件後、彼の銃に残る弾は5発。ギョンピル(ソン・ガンホ)ら、3人の銃創は11か所。
銃一丁の弾倉に弾は15発装填。しかし、最大16発が可能だ。(余分に1、薬室に直接装填)。
弾を込めてもらうと、スヒョク(イ・ビョンホン)の習慣は15発。
この結果にソフィー(イ・ヨンエ)は「見てみたいわ」と、早撃ちの名人と称される彼の感情を揺さぶる。
「実戦で重要なのはスピードではなく どれだけ冷静に行動するか それが全てです」
スヒョク(イ・ビョンホン)は、これまでで一番ながい言葉を発した──
現場視察、関係者の証言などから仮説を立てて来たソフィー(イ・ヨンエ)。
それが確信に変わったのは、スヒョク(イ・ビョンホン)と交際しているスジョンを訪ねた時だった。
彼女は、事件当夜に韓国軍の見張り小屋で任務に就いていたソンシク一等兵(キム・テウ)の妹。
同部隊所属の2人は親しく「兄が明るくなったのは彼のお陰 情が深いし、貧しさも知ってる」と──
捜査開始から1週間が経過した11月4日、スヒョク(イ・ビョンホン)の前に10発の弾が置かれた。
それは、ギョンピル(ソン・ガンホ)ら北朝鮮軍の3人を撃ったもの。
彼らの銃創は全部で11か所だが、1発の銃弾が今も見つかっていない。
押し黙るスヒョク(イ・ビョンホン)に、ソフィー(イ・ヨンエ)は事件現場に居た“5人目”を問いただす。
同時刻、上の階では中監委の事情聴取にソンシク(キム・テウ)が青ざめる。
以前の聴取で「(威嚇行動に発展した際に)銃の故障で1発しか撃てなかった」と証言し、故障も確認された。
だが、その銃から射殺された北朝鮮軍人の血痕が見つかり、彼が“5人目”なら弾数は合致する。
ソフィー(イ・ヨンエ)の尋問は“入れ替わった銃”にも及び、不安に苛まれるスヒョク(イ・ビョンホン)。
同じく、ポリグラフ検査を迫られ後がないソンシク(キム・テウ)は、錯乱を起こして投身自殺を図る──
2 映画『JSA』0h29m~0h57m
スヒョク(イ・ビョンホン)が“あの2人”と知り合ったのは射殺事件発生の8か月前、2月17日。
非武装地帯での訓練中に、草むらで用便を済まし地雷を踏んで動けない時だ。
困っていたら1匹の犬が近寄って来て、それを探す北朝鮮軍戦士ウジン(シン・ハギュン)と目が合う。
ここは軍事境界線外、北朝鮮軍の見張り小屋までスグの場所だった。
更に、同軍中士ギョンピル(ソン・ガンホ)も現れ、形勢不利なスヒョク(イ・ビョンホン)は手札を切る。
「あと一歩近づいたら爆発させるぞ」
だが今度は、犬を抱き上げて地雷を踏まぬよう帰ってしまう2人に「助けて下さい」と、泣きついた──
物語を紡ぐ彼らのファーストコンタクトは、じつに喜劇的だ。この一件から、身体は軍事境界線を越えずに、手紙や品物を投げ飛ばす交流が始まる。だが、北朝鮮軍人との接触は軍紀違反にあたり厳罰やむなし。無論、韓国軍の兵役に就くスヒョクは理解している。それでも“兄貴”と慕いたくなる柔軟で聡明なギョンピルの存在は大きい。そして、命懸けともいえる行動に…。作中には、年長者であり諸外国で軍事教官を務めた経験もあるギョンピルが、“現実”を一番知っているのだろうと窺える場面が描かれる。
“命の恩人”との出会いから、しばらく経った深夜のこと。
一本気なスヒョク(イ・ビョンホン)は冗談を信じて、自軍の見張り小屋を抜け出し“帰らざる橋”を渡る。
そして、扉を開けて見張り小屋の中に入りギョンピル(ソン・ガンホ)を呆然とさせた。
「まさか本当に来るとは…」と、冗談のつもりで誘ったウジン(シン・ハギュン)も異常事態に焦る。
だが、嬉しさが上回る2人はスヒョク(イ・ビョンホン)を歓迎し、地下壕で語り合う──
「兵役がたった2年2か月? 俺たちは13年だぞ」「俺は銃を早く抜ける」「水鉄砲か?」
すると、2対1で見くびられっぱなしのスヒョク(イ・ビョンホン)が銃を抜いた。
もちろん冗談だが、人を撃った経験のない彼にギョンピル(ソン・ガンホ)は真剣に教えてやる。
「実戦では銃を抜く速度なんか重要じゃない… どれだけ冷静に素早く判断し行動するか それが全だ」──
ギョンピル(ソン・ガンホ)を目の敵にする、チェ上尉(キム・ミョンス)とニアミスもあった。
幸いスヒョク(イ・ビョンホン)は見つからずに済むが、吠えてくれた犬の命が危ぶまれる事態に。
だが、韓国側へ逃がそうとするウジン(シン・ハギュン)から、離れる気はないようだ──
密かに規則違反を繰り返すスヒョク(イ・ビョンホン)は、除隊まであと3か月ほど。
笑顔が増えた理由はソレだと思うソンシク(キム・テウ)に、去って行く友達を明るく見送れる余裕はない。
その内気な性格を気に掛けるスヒョク(イ・ビョンホン)の頭に、“あの2人”のことが浮かぶ。
だが、考え直して、いつものように1人で見張り小屋を抜け出した。
すると、居眠り中に机から肘を滑らせたソンシク(キム・テウ)が、いつもより早く目を覚まして外へ。
“帰らざる橋”の暗がりに隠れる者がスヒョク(イ・ビョンホン)で安堵した直後、まさかの一線を越える事に──
射殺事件発生の1か月前。9月16日、深夜3時20分。
促されるままに軍事境界線を越えてしまい、棒立ちになるソンシク(キム・テウ)。
スヒョク(イ・ビョンホン)のことは信頼していても、現状を笑うなんて出来ない。
たとえ4人で笑えるようになっても、韓国に亡命した兵士から聞いた話(韓国兵を北に…)が正しいかもと怖気づく。
「まさか 命の恩人なんだ」と、一蹴したはずのスヒョク(イ・ビョンホン)も不安を覚えるのだった──
3 映画『JSA』0h58m~1h23m
手土産のチョコパイを頬張って、至福の表情を浮かべるギョンピル(ソン・ガンホ)。
すると、モジモジしていたスヒョク(イ・ビョンホン)が「兄貴 …南に来ない?」と切り出す。
突然すぎて、ウジン(シン・ハギュン)とソンシク(キム・テウ)も2人を見ることしか出来ない。
「俺の夢は 南より美味しい菓子を作ることだ その日まで、このチョコパイで我慢しよう」
ギョンピル(ソン・ガンホ)は一度吐き出したソレを頬張り直して、緊張に包まれる空気を和ませた──
10月9日、深夜0時14分。
非常事態を知らせる警報が鳴り響き、就寝していたスヒョク(イ・ビョンホン)らも武装。
北朝鮮軍が臨戦態勢に入っているとの情報に、夜を徹して警戒にあたる──
10月17日、20時7分。北朝鮮軍の威嚇行為とみられる、火の手が上がった。
フェンス越しに呆然と見るソンシク(キム・テウ)の頭には、誕生日が近いウジン(シン・ハギュン)が浮かぶ。
「もう行くのはよそう」と言ったスヒョク(イ・ビョンホン)も、こんな別れ方など望んでいない。
同じ頃、ギョンピル(ソン・ガンホ)たちも、遠くであがる炎を見張り小屋の屋根から眺めていた──
10月28日。
除隊の前にもう一度だけと、スヒョク(イ・ビョンホン)はソンシク(キム・テウ)と“帰らざる橋”を渡った。
あの威嚇行為が本気だったのか聞かれ、ギョンピル(ソン・ガンホ)の語気が強まる。
オドオドするウジン(シン・ハギュン)は「戦争の話はやめましょう」と──
深夜2時24分、外は本降りの雨。
写真と住所交換も済んでしまい誰もが別れを惜しんでいると、ソンシク(キム・テウ)が絵の具セットを渡す。
すると、泣き顔を見られて気恥ずかしいウジン(シン・ハギュン)は、屁を放って3人を笑わせる──
この日はウジンの誕生日で、きっと4人は“屁”も楽しかっただろう。だが次の瞬間には、彼らの笑顔を奪う人物が現れてしまう…。ここからは、射殺事件後の現在が展開される。ソンシクの投身自殺を正視したスヒョクは激昂し、中監委の女性少佐ソフィーもショックを受ける。しかし、真相解明に全力を尽くす彼女は強硬な姿勢を崩さない。そして遂に、ギョンピルとスヒョクが同席して事件当時の聴取が始まる。
11月5日、14時。対面時に、素知らぬふりをするスヒョク(イ・ビョンホン)とギョンピル(ソン・ガンホ)。
これまでと同じ、陳述書に間違いはないと言い張る2人にソフィー(イ・ヨンエ)は手札を切る。
再生されたのは、前日の事情聴取で錯乱状態になるソンシク(キム・テウ)の姿。
すべての行為が事実の発覚を恐れており、事件現場に居た“5人目”だと彼自身が証明していた。
そのソンシク(キム・テウ)は昏睡状態に陥り、スヒョク(イ・ビョンホン)も極限を迎えてる。
すると、祖国への忠誠を誓い敵軍を罵倒するギョンピル(ソン・ガンホ)が、聴取を打ち切り去って行く──
壁にぶつかるソフィー(イ・ヨンエ)に「父さんの国は気に入ったかな?」と、中監委のボッタ将軍。
そして、明らかになった事実、彼女の父は北朝鮮軍の将校だったと伝える。
敵軍の娘であり兵士を自殺に追い込む人物は不適任だと、韓国のピョ将軍(キ・ジュボン)が裏で糸を引いた。
だが、ソフィー(イ・ヨンエ)は捜査をやめようとせず、見かねたボッタ将軍が本音を漏らす。
「君はまだ板門店を知らない 事実を隠してこそ平和が保たれる 双方の望みは事件が曖昧になることだ…」
これ以上の真相解明は両国家にとって無用であり、中立国たるものの難しさを彼自身も痛感していた。
「だから、“有名無実”な中立国監督委員会に捜査を依頼したわけですね」──
皮肉な現実を知ったソフィー(イ・ヨンエ)に、帰国まで残された時間はあと僅か。
これで最後となる聴取で、言い逃れ出来ない証拠をスヒョク(イ・ビョンホン)に突き付ける。
遂に決心した彼は、“ギョンピル(ソン・ガンホ)の安全”を条件に真実を話し出す──
4 映画『JSA』1h24m~1h50m
10月28日、深夜2時31分。
臭い小屋に風を通そうとするソンシク(キム・テウ)の前に、北朝鮮軍のチェ上尉(キム・ミョンス)が現れた。
無論、笑顔は消えて、銃を向けられたスヒョク(イ・ビョンホン)も咄嗟に銃を抜き一触即発の状況に。
努めて冷静を保つギョンピル(ソン・ガンホ)は、2人を守ろうと弁明する。
だが、チェ上尉(キム・ミョンス)の口車に乗り、罰を逃れるほうを取ったウジン(シン・ハギュン)。
震えながら友を説得するが、銃口を向けられているソンシク(キム・テウ)には全部が嘘に聞こえた。
「結局は敵なんだ」と言ったスヒョク(イ・ビョンホン)も、聞いたギョンピル(ソン・ガンホ)も悲痛な顔。
それでも、根気強く説得するギョンピル(ソン・ガンホ)は、彼らに銃を収めさせた。
静寂に包まれる、見張り小屋。不意にラジカセから音楽が流れ…
誰もが気を取られると、チェ上尉(キム・ミョンス)が腰(の無線機)に手を伸ばす。
咄嗟に発砲したソンシク(キム・テウ)の弾が、チェ上尉(キム・ミョンス)の胸を貫通。
次いで、銃を抜こうとするウジン(シン・ハギュン)の顔を撃ち、貫通した弾はラジカセにめり込む。
続けざまに敵の指を弾き飛ばしたスヒョク(イ・ビョンホン)は、掃討を狙うが引き金を引いても弾が出ない。
その時、ギョンピル(ソン・ガンホ)の顔がハッキリと見え、人殺しをせず我に返ることが出来た。
だが、ウジン(シン・ハギュン)の銃が暴発し、流れ弾はスヒョク(イ・ビョンホン)を襲う。
その光景に目つきが変わったソンシク(キム・テウ)は、絶命した敵に銃弾を浴びせ続けて放心状態に。
ぼんやりするソンシク(キム・テウ)から、銃を取り上げたのはギョンピル(ソン・ガンホ)だ。
そのまま瀕死のチェ上尉(キム・ミョンス)の前へ行くと、額を撃って殺害。
この現実にショックを受ける2人を、ギョンピル(ソン・ガンホ)は身動きせず真剣に見つめた。
やり切るしかないスヒョク(イ・ビョンホン)は、指示し続けてくれた“兄貴”の肩を撃つ。
「お前は居なかった…」とする、ソンシク(キム・テウ)は一目散に韓国軍の見張り小屋の中へ。
陳述書にある“拉致”と“奇襲”も偽証で、そんな事実ではなかった──
間もなく、転役でこの地を離れるギョンピル(ソン・ガンホ)。
「もしも立場が逆だったら 私が先に撃ったでしょう」
会うのも最後になるであろうソフィー(イ・ヨンエ)に、あの夜の真実を静かに話す。
今も見つからない銃弾は、壊れたラジカセごと彼が捨てたことも分かった──
もう一度スヒョク(イ・ビョンホン)を訪ねるソフィー(イ・ヨンエ)は、預かったライターを渡す。
それは、彼がギョンピル(ソン・ガンホ)にあげたもの。
雑談するかのようにソフィー(イ・ヨンエ)は話し、スヒョク(イ・ビョンホン)もタバコを吸う。
だが、最後まで食い違っている証言を聞いた、その手は止まり恐怖心に襲われる。
「ギョンピル中士の証言だとウジンを撃ち殺したのは あなただった…と いや、彼の記憶違いかも」──
スヒョク(イ・ビョンホン)の異変に気づかないまま、終止符を打ったソフィー(イ・ヨンエ)。
おぼろげな記憶を辿るスヒョク(イ・ビョンホン)は、自軍の兵士から銃を奪うと見上げた先には彼女が。
あの時、ソンシク(キム・テウ)ではなく自分がウジン(シン・ハギュン)を…
それが真実だと思い込むスヒョク(イ・ビョンホン)は、自殺。
彼のもとに駆け下りたソフィー(イ・ヨンエ)は、呆然と立ち尽くすのだった──